マリの料理

平成27年8月26日

マリの料理は、アフリカで伝統的に受け継がれてきた、多様な料理スタイルが基になっています。主食は米とキビ(イネ科の1年草の穀物)で、マリの全8州で食されています。しかし、おかずとなるソース(肉や魚、野菜と香辛料をベースにしたもの)は、各州それぞれの特色があります。


南の方の州では、キビやトウモロコシを挽いてその粉を練った「ト」が主食として食べられています。トと良く一緒に食べられるのは、オクラや、バオバブの葉から作られたソースです。オクラもバオバブの葉も、フレッシュなまま使用したり、乾燥させて粉状にしたりと使い方は様々です。「ティガデゲ」というピーナッツのソースは、米やクスクスと一緒に食べます。また、トマトをベースに肉や野菜を煮込んだ赤いスープは、米や「ジュカ」(フォニオというイネ科の穀物とオクラの粉を蒸したもの)と一緒に食べることが多いです。その他、「ザメ」という肉や魚、野菜のアフリカ風炊き込みご飯も、広く食されています。


北の方の州では、モロヘイヤを粉状にしたものと子羊の肉を合わせた「ファッコイ」というソースが米と一緒に食べられています。北部を中心に居住するソンガイ族やトゥアレグ族は、羊の肉とトマト、トウガラシ、クミンで調理した「トゥカス」というソースを、「パットゥ」と呼ばれる蒸しパンに似たものと一緒に食べます。またしばしば、トと一緒にオクラやバオバブのソースも食されています。


お祝いなどの特別な日には、ザメやトマトベースの赤いソースを米やジュカと一緒にいただきます。


地域の人々の生活には近隣各国の料理も取り入れられ、お陰でマリの食生活はとても豊かになっています。例えば、セネガルの「チェブジェン」(野菜と魚の炊き込みご飯)や「ヤッサ」(タマネギと肉のソース)、コートジボワールの「アチャケ」(トウモロコシの粗挽きパスタ)や「アロコ」(食用バナナの揚げ物)などがその代表です。


この様に多様な料理があるマリですが、実は野菜や果物はあまり食べません。マリの気候は乾燥しているので、国土の一部しか野菜や果物の生産に適さないからです。確かに、市場に行けばオレンジやスイカ、バナナ、トマト、にんじん、キュウリ、インゲン豆、サラダ菜等が売られています。また、ザバンという柑橘系の果物や、タマリンド、シアバターの実もありますが、雨期の始めの頃にしか目にすることがありません。


そしてマリ人はアルコールをほとんど飲みません。まず一番は水、その次にお茶がマリで最も飲まれています。お茶を飲むことはマリの習慣に深く根付いており、お茶を振る舞うことはありとあらゆる機会において、歓迎やおもてなしの証となっています。ほぼ95%のマリ人が、毎日お茶を飲んでいるとも言われるくらい、マリの人たちはお茶が大好きです。ではコーヒーはどうかと言うと、マリ人の間で少しずつ広がってきています。他によく飲まれているのは、まず牛乳、そしてショウガやハイビスカス、スイカ、タマリンドのジュースです。もちろん、炭酸飲料やビール、「ドロ」という伝統的なビールもあります。



 トとオクラのソース
トとオクラのソース


 ご飯とピーナッツのソース
ご飯とピーナッツのソース


 トマトのソース(トマト・肉・野菜)
トマトのソース(トマト・肉・野菜)


 ジュカ
ジュカ


 ザメ
ザメ


 ファッコイ
ファッコイ


 トゥカス
トゥカス