バギネダ灌漑開発プロジェクト、フォローアップ視察

平成27年8月27日

2015年7月24日、在マリ日本大使館の職員がバマコ近郊のバギネダ地区を訪問し、日本の支援によって整備されたバギネダ灌漑施設を視察しました。


このプロジェクトは、1986年から1990年まで日本の飛島建設により実施され、支援総額は30億円超に上ります。事業内容は、37Km のメイン灌漑の再設置及び補強、農業研修実施のための86ヘクタールの農業試験場の建設、42本のサブ灌漑(総長55,9Km)の建設、水門7つ、小橋10本、洗い場10カ所、排水溝21カ所、4,4Kmの農道の建設等を含み、同地区の農作物生産に最適な農業用水の供給を実現させました。


視察当日は、バギネダ灌漑開発公社の職員のガイドのもと、まず始めに灌漑の開始地点を訪問し、ニジェール川からの取水口を見学しました。その後、灌漑沿いに移動しながら、日本の支援により整備された灌漑施設を視察し、地域の農家の方々のお話を伺うことで、設備の維持管理状態の良さと、プロジェクトの効果を確認することができました。


メイン灌漑は、バギネダ地区を東西に横切るように設置され、それに沿うように4,500ヘクタールの農地が広がっています。そこでは主に、地域住民により米や野菜(トマト、ナス、オクラ、モロコシ、キャッサバ等)が生産されており、これらの農作物は地元やバマコの市場等で販売されます。視察を実施した7月は雨期で農繁期のため、農地では、牛に鋤を引かせ畑を耕している人々や、手で田植えしているたくさんの女性たちなどが働いていました。そして、灌漑では、洗い場で食器等を洗っている女性たちや水浴びをしている子供たちの姿も見ることができました。


同地区に0,87 ヘクタールの農地を有するママドゥ・ジャラ氏は、このプロジェクトのおかげで乾期でも野菜栽培が可能となり、家族の食糧安全保障と日々の生活費の確保がより確実になったと我々に語りました。このように、同灌漑施設の整備は、地域住民の食糧生産及び野菜の集約栽培の発展、生産力の改善、農業収入の向上等に役立っています。具体的には、バギネダ地区の3千人以上の農家が直接裨益し、加えて地区内22ヵ村3万人以上が波及効果を得ていると試算されています。


プロジェクト終了から20年以上経った現在でもこの灌漑施設が良く維持管理されているのは、バギネダ灌漑開発公社が地域農家を組織化し研修を行ってきたたまものです。同公社代表のンジャグ・ジャロ氏は、日本の支援に感謝するとともに、今後の農業事業にも意欲を見せていました。


視察を案内したバギネダ灌漑開発公社職員と当館クリバリ職員(右から2人目)
視察を案内したバギネダ灌漑開発公社職員
と当館クリバリ職員(右から2人目)


ニジェール川の取水口

 

灌漑開始地点より眺める
灌漑開始地点より眺める
水路に設けられた洗い場
水路に設けられた洗い場
水量調節口
水量調節口
田植えの様子
田植えの様子
記念碑
記念碑
排水口(手前)と水門(奥)
排水口(手前)と水門(奥)